ご質問をお選びください。
A1 確かに前立腺ガンは増えています。食生活の洋食化や平均寿命の高齢化に伴って年々増加し続け、平成10年には男性に生じるガンの中で6番目に多いガンとなっています。増加傾向は今後も続くと予測されています。
A2 残念ですけれども、早期の前立腺癌では自覚症状は殆どありません。治癒が可能な早期癌は、定期的な検診を受けていないと発見できないのです。前立腺癌の危険性が高いかどうかは、直腸指診と血液検査で判ります。特にPSAという血中物質の測定は非常に信頼できる検査です。この検査で癌の可能性が高いと判断された場合は精密検査(針生検など)を行いより詳しく検査し、本当に癌かどうか確定します。定期検診を受けるメリットが大きい病気である事が判っている為に、米国では50歳以上の男性には1〜2年に1回泌尿器科を受診する事が勧められています。
A3 よく聞く話です。泌尿器科の先生以外には、「おしっこが出ずらい」「夜間頻尿である」というと、単純に前立腺肥大症と診断して投薬する先生がいます。夜間頻尿と夜間多尿は異なった病態です。降圧剤などにも夜間多尿を起こすものも有ります。専門医の診察がよろしいと思います。
A4 これは間違った迷信です。「痛くも無い目で見ての血尿」は通常は治療が必要な病気が考えられます。痛みを伴う血尿の場合には、尿管結石や前立腺炎も考えられますが、痛みの無い場合は膀胱癌などの悪性腫瘍や、腎血管系の病気が考えられます。血尿がひどいと膀胱の中で血が固まってしまい自分で尿が出来なくなってしまうこともあります。早く専門医の診察を受ける必要が有ります。
A5 どこからそんな知識を得たんでしょうか?ストレスの大きな現代社会では比較的お若い患者さんでもED(勃起障害)で悩んでいる方が大勢いらっしゃいます。そのような方の場合に特によく判るのですが、バイアグラ内服でうまくいくと自信が回復して心身ともに元気になる方がいらっしゃいます。もっと明るく考えて良いと思います。
A6 残念ながら事実です。性病(Sexually Transmitted Disease、STD)には、淋菌やクラミジアやHIV感染などの有名な病気以外にも、梅毒・尖圭コンジローマ・性器ヘルペス・トリコモナス症など色々な病気が有ります。1992年からSTD全体が減少しました(エイズ騒動によってSTDに対する警戒が高まったようです)が、エイズに対する関心が薄まるのにつれて1996年から再度増加傾向となり止まる気配が有りません。下のグラフはASAHI Medical 2005年3月に載っている物ですが、コンドームの出荷数現象に伴って(エイズへの警戒心が薄れてきている反映だと思います)STDが増加しているのが一目瞭然です。
A7 その認識は甘すぎです。泌尿器科のクリニックですので、どこでもらったかを確認するのですが、近年では「友人」「ナンパ」などの一般の女性との性交渉以外に考えられ無い場合が増えています。最近の調査では、一般職の未婚女性のクラミジア感染率は風俗店などで働いている女性での陽性率を上まっているとのデータが報告されています。
A8 この認識も当てになりません。クラミジアにかかっていても、男性では50〜60%、女性では80%の患者さんは自覚症状が無かったとのデータが有ります。東京都予防医学協会の調査では、産婦人科を受診した女性の10人に1人はクラミジアに感染していたと報告されています(15〜19才の女性のみを見ると何と4人に1人が感染していたのです!!)。「婦人科を受診した女性だから感染率が高いんでしょ?」などと思わないほうが身のためです。健康女性での調査でも、15〜29才の一般女性で15〜20人に1人は感染しているとの結果だったのです。なお、ここのデータは1998年や2001年のものですから、現時点で何処まで増加しているのか空恐ろしい状態です。
A9 此処なんです。医療サイドが危機感を持っているのは!!患者さんを診て、「怖わい物知らずだなあ・・・」と思ってしまうのです。エイズは言うまでも有りませんが、淋菌やクラミジア等の一般的な性病の病原体でも、近年“抗生剤耐性”が進んでしまっているのです。“抗生剤耐性”って何でしょう?抗生物質が効かないという事ですよ!効きにくいとどうなるのか?病気がどんどんひどくなってしまうのですよ!!皆で真剣に心配しましょうよ。
A10 日本のマスコミは本当に真摯でないと思いますよ(エポックメーキングな事は、煽るだけ煽って、フォローしませんよね)。実のところ、日本では着実に密かにHIV 感染例は増加しています。先進国の中で、増加傾向が持続しているのは日本だけなんですよ!下に、[2003年エイズ発生動向概要報告書よりの引用したグラフを示します]
A11 この知識は間違いです。現代に於ては、男女を問わず淋菌感染症患者さんの約30%では咽にも淋菌を飼っています。クラミジアでも10〜20%では咽にも居ると報告されています。つまり、オーラルセックスでも移るのです。あなたが言っている“セックスの直前”とは、膣へ挿入する直前という意味ではないですか?オーラルセックスもセックスですよ!ちなみに、口腔内感染した場合には、単に性器のみへの感染した場合に比べて薬が効きにくいと言われています!!