一口に「排尿障害」といってもいろいろな病態が有ります。
キチンと病態を評価した上での治療が必要です。
前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症、尿道狭窄、前立腺癌、神経因性膀胱、薬(総合感冒薬・ブスコパン・抗ヒスタミン剤など)など
多尿症、過活動膀胱、前立腺肥大症、前立腺炎、神経因性膀胱、睡眠障害など
尿道炎、前立腺炎、尿道結石など
「尿潜血陽性」といってもいろいろな病態が有ります。毎回毎回陽性なのか?尿蛋白はどうなのか?等によって考えなくてはいけない病気が異なります。一般的には、尿潜血陽性者の3人に2人では病気は見つかりませんが、1~2%の頻度で尿路腫瘍が見つかるので、専門医の診察を受ける事が必要です。
このような場合には治療が必要な病気が考えられます。痛みを伴う場合には、尿管結石や前立腺炎も考えられます。逆に、痛みの無い場合は膀胱癌などの悪性腫瘍や、腎血管系の病気が考えられます。血尿がひどいと膀胱の中で血が固まってしまい自分で尿が出来なくなってしまうこともあります。早く専門医の診察を受ける必要が有ります。
「排尿後に泡立っている。テレビで良くない兆候だといっていた」といって来院する患者さんが増えています。確かに尿タンパクが多量に出ているといつまでも消えない細かな泡が見られます。しかしながら、健康な尿でも大きな泡が出る事は多いので心配し過ぎの場合が多いようです。上述のように「いつまでも消えない細かな泡が一杯出る」場合には、腎臓内科の受診が望ましいです。
PSAというのは”前立腺特異抗原”という血中マーカー物質であり、採血でわかります。これが異常高値であっても、必ずしも前立腺癌を意味するわけではない事を覚えておいてください(少しだけ高いだけで癌と思い込んで心配してしまっている方が時にいます)。前立腺肥大症や前立腺炎や尿閉状態などでも上昇してしまいます。癌との鑑別のためには専門医の診察を受ける事が必要です。また、意外に知られていないのですが射精後には一過性に上昇してしまいますので採血のタイミングも大切です。
近年、前立腺癌の罹患率が増加しているために、マスコミや雑誌類などで取り上げられる機会が増えています。一部では、偏った意見も見受けられることから患者さんの中には混乱してしまっている方もいらっしゃいます。情報を入手するのであれば、米国がんセンターの前立腺癌の解説(日本語訳)などのキチンとした情報が望ましいと思います。
前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺癌、尿閉、射精など
この症状が出ると、精神的にショックを受ける方が多いようです。2人に一人は一時的な出血であり一ヶ月以内に治まります。通常は重大な病気は有りませんが、一通りは調べたほうが安全ですので、恥ずかしがらずに専門医の診察を受けてください。
前立腺炎、尿道炎、前立腺部尿道ポリープ、精嚢腺嚢胞、前立腺癌、前立腺肉腫など
この場合、腫れている方に痛みが有るか?が重要です。特に20~50歳の男性では精巣癌の除外が必要ですし、それ以外にも早急に対処する必要のある病気が多い症状ですので、恥ずかしがらずに早く専門医の診察を受けてください。
精巣癌副睾丸炎、睾丸炎、精巣捻転、陰嚢水腫、精液溜、精索静脈瘤など
尿道から膿が出る場合には淋菌性尿道炎やクラミジア性尿道炎が疑われます。近年の性行為の多様化(不特定多数との性交渉など、コンドーム使用率の低下など)により性行為感染症(STD)は増加してきています。
近年のSTD流行は極めて危機的な状況といえます。その理由は、第一には抗生物質が効きにくい耐性菌が多く出現している事があります。第二には、とても大きな問題なのですがSTDに対しての基本的な知識を知らない若者が増えているという点です。女性における後遺症や、HIV混合感染率の上昇など知っておく必要があると思います。
尿道炎の場合には、パートナーも同時に治療を進める必要があります。女性パートナーは婦人科を受診することをおすすめます。
原因として様々なものがありますが、治療が必要なものは尖圭コンジローマです。カリフラワーの様に成長します。痛みがないので放置しがちですが、性行為によるウイルス感染症です。パートナーと共に治療が必要ですので、皮膚科か泌尿器科を受診してください。