Q 前立腺癌が増えているって本当ですか?
確かに前立腺ガンは増えています.食生活の洋食化や平均寿命の高齢化に伴って年々増加し続け,平成26年には男性に生じるガンの中で3番目に多いガンとなっています。増加傾向は今後も続くと予測されています。
Q 特に症状はないんだけど、PSAって検査をしたほうがよいって本当?
早期の前立腺癌では自覚症状は殆どありません。治癒が可能な早期癌は,定期的な検診を受けていないと発見できないのです。前立腺癌の可能性が高いかどうかは,直腸指診と血液検査で判ります。特にPSAという血中物質の測定は非常に信頼できる検査です。この検査で癌の可能性が高いと判断された場合は精密検査(針生検など)を行いより詳しく検査し,本当に癌かどうか確定します。 50歳以上の男性は1〜2年に1回PSA測定をする事が勧められています。
Q 夜間におしっこに何度も目が覚めてしまってかなわない。内科で前立腺肥大の薬をもらったけど良くならない。年のせいだって言われたけど諦めるしかないのか?
よく聞く話です。泌尿器科の先生以外には、「おしっこが出ずらい」「夜間頻尿である」というと、単純に前立腺肥大症と診断して投薬する先生がいます。夜間頻尿と夜間多尿は異なった病態です。降圧剤などにも夜間多尿を起こすものも有ります。専門医の診察がよろしいと思います。
Q 真っ赤なおしっこが出たことが有るんだけど、痛くないし、安静にしてれば1日で止まった。昔から“働きすぎると血尿が出る”っていうから大丈夫なんでしょ?
これは間違った迷信です。「痛くも無いんだが血尿が出る」という症状は治療が必要な病気である可能性が高いです。痛みを伴う血尿の場合には,尿管結石や前立腺炎も考えられますが,痛みの無い場合は膀胱癌などの悪性腫瘍や,腎血管系の病気が考えられます。血尿がひどいと膀胱の中で血が固まってしまい自分で尿が出来なくなってしまうこともあります。早く専門医の診察を受ける必要が有ります。
Q 最近元気がなくて嫌になる。バイアグラを飲んでうまくできたとしても,その後もずっと飲まないと勃起できなくなるんでしょ?
どこからそんな知識を得たんでしょうか?ストレスの大きな現代社会では比較的お若い患者さんでもED(勃起障害)で悩んでいる方が大勢いらっしゃいます。そのような方の場合に特によく判るのですが、バイアグラ内服でうまくいくと自信が回復して心身ともに元気になる方がいらっしゃいます。もっと明るく考えて良いと思います。
Q 性病が増えているって本当ですか?
残念ながら事実です。性病(Sexually Transmitted Disease、STD)には、淋菌やクラミジアやHIV感染などの有名な病気以外にも、梅毒・尖圭コンジローマ・性器ヘルペス・トリコモナス症など色々な病気が有ります。1992年からSTD全体が減少しました(エイズ騒動によってSTDに対する警戒が高まったようです)が、エイズに対する関心が薄まるのにつれて1996年から再度増加傾向となり止まる気配が有りません。下のグラフはASAHI Medical 2005年3月に載っている物ですが、コンドームの出荷数現象に伴って(エイズへの警戒心が薄れてきている反映だと思います)STDが増加しているのが一目瞭然です。
Q 性病が増えているって言っても風俗へ行かなければ大丈夫でしょ?
その認識は甘すぎです。泌尿器科のクリニックですので、どこでもらったかを確認するのですが、近年では「友人」「ナンパ」などの一般の女性との性交渉以外に考えられ無い場合が増えています。最近の調査では、一般職の未婚女性のクラミジア感染率は風俗店などで働いている女性での陽性率を上まっているとのデータが報告されています。
Q 周りには病気になっている感じの女性はいないから大丈夫でしょ?
この認識も当てになりません。クラミジアにかかっていても、男性では50~60%、女性では80%の患者さんは自覚症状が無かったとのデータが有ります。東京都予防医学協会の調査では、産婦人科を受診した女性の10人に1人はクラミジアに感染していたと報告されています(15~19才の女性のみを見ると何と4人に1人が感染していたのです!!)。「婦人科を受診した女性だから感染率が高いんでしょ?」などと思わないほうが身のためです。健康女性での調査でも、15~29才の一般女性で15~20人に1人は感染しているとの結果だったのです。なお、ここのデータは1998年や2001年のものですから、現時点で何処まで増加しているのか空恐ろしい状態です。
Q 性病になったとしても治るんでしょ?だったらいいじゃない?
此処なんです。医療サイドが危機感を持っているのは!!エイズは言うまでも有りませんが,淋菌やクラミジア等の一般的な性病の病原体でも,近年“抗生剤耐性”が進んでしまっているのです。“抗生剤耐性”って何でしょう?抗生物質が効かないという事ですよ!効きにくいとどうなるのか?病気がどんどんひどくなってしまうのですよ!!また、クラミジア感染症は「すべての STD の入り口」と呼ばれる事もあるように、他のSTDにかかりやすくなるという事も覚えておいてください。
Q エイズはもう流行らなくなったんじゃないの?最近、マスコミも何も言わなくなったしさ。
日本のマスコミは本当に真摯でないと思いますよ(エポックメーキングな事は、煽るだけ煽って、フォローしませんよね)。実のところ、日本では着実に密かにHIV感染例は増加しています。先進国の中で、増加傾向が持続しているのは日本だけなんですよ!下に、2014年エイズ発生動向概要報告書よりの引用したグラフを示します。
Q セックスの直前にはコンドーム着けておけば大丈夫なんでしょう?
この知識は間違いです。男女を問わず淋菌感染症患者さんの約30%では咽頭にも淋菌を認めます。クラミジアでも10〜20%では咽頭にも居ると報告されています。つまり,オーラルセックスでも移るのです。あなたが言っている“セックスの直前”とは,膣へ挿入する直前という意味ではないですか?オーラルセックスもセックスですよ!ちなみに,口腔内感染した場合には,単に性器のみへの感染した場合に比べて薬が効きにくいと言われています!!
Q 尿漏れは薬で治るというのは本当ですか?
腹圧性尿失禁は軽度であれば「括約筋体操」をキチンとまじめにやれば薬なしでもよくなる事が多いです。切迫性尿失禁に関しての治療薬はいくつか存在します。しかし、「内服の効果で完治して、以降は内服しないですむようになる」訳ではありません。内服薬で「症状を抑える」というのが実際です。
Q 膀胱炎を繰り返してしまうのですが何でなんでしょうか?
いろいろな原因が考えられます。具体的には、「耐性菌がいるため」「更年期などでホルモンバランスが悪い状態」「残尿がいつもあるため」などが挙げられます。稀に、膀胱癌や膀胱腸瘻などの重篤な病態の可能性もありますので、泌尿器科での検査・治療が望ましいです。
Q 健康診断で尿潜血・尿タンパクが指摘されたのだけど、何も症状がないので放置したら駄目なの?
女性の場合には採尿の仕方が悪いだけで陽性反応が出る事があります。会陰に付着している帯下や細菌などが混入してしまっただけで、病気ではありません。それを避ける為には“中間尿”を採取する必要があります。中間尿でも尿潜血・尿タンパクが陽性であった場合には泌尿器科を受診しましょう。